学科専門~過去問私的解説&考察~第62回気象予報士試験・問7

7:解析雨量

気象庁が作成している解析雨量について述べた次の文(a)~(d)の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。

(a) 解析雨量は、気象レーダーと雨量計の観測データを組み合わせ、降水量分布を1km四方の細かさで解析したもので、面的に雨量を推定できる気象レーダーと、正確な雨量を観測できる雨量計の両方の長所を活かしたものである

(b) ブライトバンドは、上空の融解層付近で気象レーダーの反射強度が強くなる現象である。解析雨量では、数値予報の気温情報を利用した処理により、ブライトバンドの影響が軽減されている

(c) 解析雨量の算出に用いられる地上の降水量データは、気象庁のアメダスの雨量計による観測データのみが使用されている

(d) 解析雨量は、土壌雨量指数や表面雨量指数の算出の際の入力データとしては利用されるが、解析雨量の値に基づいて記録的短時間大雨情報が発表されることはない

② (a)正,(b)正,(c)誤,(c)誤

(a)解析雨量とは

解析雨量は、降水量分布を1km四方の細かさで解析し、面的に雨量を推定できる気象レーダーと、正確な雨量を観測できる雨量計の両方の長所を活かしています。

よって、(a)は正しい!

(b)ブライトバントの軽減処理

ブライトバンドは、以下の方法で軽減されています。

  • 数値予報(MSM)の気温情報から 0℃の高度を求め、周囲より際だって強いエコーを求めてこれをブライトバンド領域と判定する。
  • ブライトバン ドと判定した領域は、周囲のエコーを重み付き内挿してエコー強度を推定する。

よって「 ブライトバンドは、上空の融解層付近で気象レーダーの反射強度が強くなる現象である。」はその通りで

「解析雨量では、数値予報の気温情報を利用した処理により、ブライトバンドの影響が軽減されている。」もその通りなので、(b)は正しい!

(c)使用する観測データ

解析雨量はアメダス雨量計以外にも国土交通省、地方自治体など全国の雨量計のデータを組み合わせて算出しています。

よって(c)の「 解析雨量の算出に用いられる地上の降水量データは、気象庁のアメダスの雨量計による観測データのみが使用されている。」は誤り!

(d)解析雨量の利用

はれの
はれの

土壌雨量指数や表面雨量指数は、解析⾬量・降⽔短時間予報等のデータを入力して算出します。

また、記録的短時間大雨情報は、地上の雨量計によって観測したり、気象レーダーと地上の雨量計を組み合わせて解析(解析雨量)した場合、その値が数年に一度程度しか発生しないような短時間の大雨である場合に発表します。

ということで記録的短時間大雨情報は、解析雨量の値に基づくと言えます。

よって、(d)の「 解析雨量は、土壌雨量指数や表面雨量指数の算出の際の入力データとしては利用されるが、解析雨量の値に基づいて記録的短時間大雨情報が発表されることはない。」は誤り!

その他の過去問を解いてみた記事はこちらからどうぞ
↓ ↓ ↓