学科一般~過去問私的解説&考察~第63回気象予報士試験・問5

5:地球の長波放射

 地球の長波放射について述べた次の文(a)~(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

(a) 地球大気中で長波放射は主に二酸化炭素分子と酸素分子によって吸収される。

(b)地球は全体としてほぼ放射平衡の状態にあり、地球の大気上端から外向きに射出される長波放射量は、地球の大気上端に入射する太陽放射量にほぼ等しい。

(c) 海洋上の背の高い積乱雲の雲頂から放射される単位面積当たりの長波放射量は、その周囲の海面から放射される単位面積当たりの長波放射量よりも大きい。

⑤ (a)誤, (b)誤, (c)誤

はれの
はれの

エネルギー(電磁波)の基礎知識を問われる問題ですね!

(a)主に吸収するのは?

地球大気中にある気体で長波放射を主に吸収するのは、水蒸気、二酸化炭素、メタン、オゾンなど色々ありますが、最も長波放射を吸収するのは水蒸気と言われているので・・・

(a)の「地球大気中で長波放射は主に二酸化炭素分子と酸素分子によって吸収される。」は誤り!

(b)放射平衡

地球は全体としてほぼ放射平衡の状態にあるのはその通りなんですが、太陽放射は地球の雲や地表面で約30%は反射されます。(アルベド)

なので「地球の大気上端から外向きに射出される長波放射量は、地球の大気上端に入射する太陽放射量にほぼ等しい」は違いますね。

よって(b)は誤り!

(c)温度と長波放射量

暖かい物体は、冷たい物体よりも多くの赤外線を放射するため、サーモグラフィーで温度差を視覚的に捉えることができます。

海洋上にできた背の高い積乱雲の雲頂と海面付近の温度は、海面付近の温度の方が高くなることから、赤外線(長波)を多く放射するのは海面付近の方ですね。

よって(c)の「海洋上の背の高い積乱雲の雲頂から放射される単位面積当たりの長波放射量は、その周囲の海面から放射される単位面積当たりの長波放射量よりも大きい。」は誤り!

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