学科一般~過去問私的解説&考察~第63回気象予報士試験・問9

9:台風の風

台風について述べた次の文(a)~(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。

(a) 一般に、台風は海面水温が26~27°C以上の海域で発生する。これは台風の発生・発達に海面からの潜熱の供給が必要なためである。

(b) 発達中の台風において、台風中心へ向かう動径方向の風の成分は、高度方向に見ると大気境界層の中で最大となっている。

(c) 台風中心付近の対流圏中層の接線方向の風は傾度風とみなすことができ、気圧傾度が同じであれば、地衡風よりも強くなっている。

② (a)正, (b)正, (c)誤

(a)海面水温と潜熱の供給

(a)の「 一般に、台風は海面水温が26~27°C以上の海域で発生する。これは台風の発生・発達に海面からの潜熱の供給が必要なためである。」は正しい!

その通りです!

(b)地上風と傾度風の動径方向

大気境界層内の風は、地表面との摩擦力も加わるため、傾度風より台風中心へ向かう角度が大きくなります。(より中心へ向かう方向へ傾きます。)

よって(b)の「発達中の台風において、台風中心へ向かう動径方向の風の成分は、高度方向に見ると大気境界層の中で最大となっている。」は正しい!

(c)対流圏中層の風

対流圏中層の高度は500hPaくらい。
この対流圏中層で吹く風は傾度風です。

傾度風は、気圧傾度力とコリオリの力と遠心力が釣り合っています。

一方、地衡風は気圧傾度力とコリオリの力が釣り合って吹く風です。

低気圧の場合、傾度風の反対側に働く力に遠心力が加わるため、遠心力の分だけ傾度風は地衡風より弱くなります。

よって(c)の「台風中心付近の対流圏中層の接線方向の風は傾度風とみなすことができ、気圧傾度が同じであれば、地衡風よりも強くなっている。」は誤り!

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