この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
天気予報で聞く「放射冷却」って何?
「放射冷却」は
熱が逃げて温度が下がることだよ。
「放射冷却」の「熱が逃げる」とはどういうしくみなのか
なぜ「放射冷却」が起きるのか
放射冷却が起きやすい
- 時期・季節
- 時間帯など
などの条件についても話すね。
- 放射冷却って何なのか
- 放射冷却の仕組み
- 放射冷却が起きやすい条件
- 放射冷却が起きると困ること
そして、気象予報士の私があなたに伝えたくて仕方ない
- 放射冷却が起きているのに、逆に気温が上がる現象
- 放射冷却の世界記録
- 放射冷却で見られる美しい現象
もお伝えいたします!
放射冷却とは何?超わかりやすくビジュアル解説
「放射冷却」とは 地面が空に向かって熱を放出して、空気・地面・地表付近にあるもの全ての温度が下がる現象のこと。
絶対0度より高い熱を持つものは、全てエネルギー(ざっくり言うと赤外線)を出しています。
地球の表面も、赤外線を出しています。
地面からエネルギーが出ていくが
太陽からもらうエネルギーの方が多い
→気温が上がる。
地面からは昼間と同じようにエネルギーが出ていくが
太陽からエネルギーをもらえない。
→気温が下がる。
特に、夜間に雲がある場合と、雲がない場合・・・放射冷却による気温の下がり方が違います。
↓ ↓ ↓
雲が鍋の蓋の役割をする。
地面から宇宙にエネルギーが逃げていくのが和らぐ。
→気温の下がり具合が緩い
鍋の蓋の役割をする雲がない。
地面から宇宙にエネルギーが逃げていく。
→気温の下がり具合が強い
天気予報で「放射冷却が強まる」っていうと
何が起きるの?
じゃあ次で、放射冷却が強まったら何が起きるのかを話すね。
放射冷却でが強まると何が起きる?
放射冷却が強まると
- 霧
- 露
- 結露
が発生します。
それぞれ「発生の仕組み」を解説しますね。
放射冷却で霧が発生するのは
空気が冷えるから!
空気が冷えると・・・
- 空気が冷える
- 空気中の水蒸気が、気体でいられなくなる
- 空気中の水蒸気が水になる
- 霧が発生
となるのです。
この霧のことを気象用語では「放射霧」とよび、天気予報用語では「ハレ霧」とよびます。
霧ができる仕組みも、雲ができる仕組みと同じ。
私は放射霧ができた時、子供たちに「地面に雲ができたよ~!」と教えています。
そして、盆地では霧が発生しやすいです。(海辺の町でも発生します。)
盆地は周りを山に囲まれているので
夜の間に水平方向からのエネルギーが入ってこないのです。
だから、海辺の地域より
放射冷却が強まりやすいってわけ。
放射冷却で露が発生する理由は
空気の湿度が高めで、適度な風があるから。
乾燥した空気や、風が全くない場合、露は発生しにくいです。
そして放射冷却がパワフルで、地面付近の気温が0℃以下に下がった日は
露ではなく、「霜」が発生します(降りる)。
放射冷却が強まった日に、結露が多く発生するのは
冷たい水を入れたグラスの外側に、水滴がつくことと同じ仕組み。
放射冷却が強まると、夜明けごろ特に気温が下がるので
- 窓ガラスや壁が冷える。
- 空気中の水蒸気(気体)が、冷たい窓ガラスや壁に触れて水(液体)になる。
冷たい水を入れたグラスの外側が結露するのと全く同じです。
では次に、放射冷却はどんな条件で起きるのか解説します。
放射冷却が起きる条件(時期・季節・時間帯)
放射冷却の起きる条件は、天気が「晴れ」で「風が弱い」夜!
「雲はなべの蓋のようなもの」です。
雲がない晴れの方が、放射冷却で気温が下がるってことは、「お湯を入れた鍋に、フタをしなかったら早く冷める。」ことと全く同じなのです。
そして風が吹く日より、風が吹かない日の方が、放射冷却はつよくなります。
では放射冷却が起きやすい季節はいつでしょう?
放射冷却は、良く晴れて風が弱い日なら、1年中起きています。
夏の朝は、朝露が見られ(地域によっては霧も発生)
冬の朝は、霧、露、霜、氷が見られます。
霜は、秋から春まで見られます。
地面付近が0℃以下で霜が発生します。
高さ約1.5mのアメダスの観測値は3℃くらいになる時、地表面が0℃以下になるので、霜が降りている可能性大ですよ。
次は放射冷却が起きやすい時間帯について!
放射冷却が起きる時間帯は
日が沈んでから日が昇るまで。
一番気温が下がるのは
日の出から1時間〜2時間後
晴れた夜に、徐々に地面付近の熱が空に逃げていくので
朝が一番冷えています。
朝といっても、日の出後1時間はまだ放射冷却で気温は下がり続けます。
だいたい日の出後2時間後くらいまでが、一番気温が下がっています。
これは、1日のうちで気温が一番高い時間帯が、太陽が南中する時間(昼の12時)ではなく午後2時になることと同じです。
太陽の熱で地球が温まり始めるには、2時間くらい時間が必要なんですね。
それに、日の出直後は太陽の熱が入ってくる角度も低いので…っていうのもあります。
でも・・・
思いっきり放射冷却の朝なのに
若干温かい日があるのです!
車のフロントガラスは凍ってない・結露も少ない!
その理由とは…
真冬の放射冷却で、霧が発生すると
気温が上がる。
放射冷却のある冬の朝、盆地では霧が発生します。
放射冷却による霧で、その名も「放射霧」!(そのまんまやないか~)
北日本や北海道など、そもそもの気温が低い地域には当てはまりませんが
放射霧が発生していると、車のフロントガラスが凍結してないのですよ。
空気中の水蒸気(気体)が霧という水の粒(液体)になるとき、水蒸気はエネルギーを手放しています。
水蒸気は気体なので、とても元気でエネルギー(潜熱)をたくさんもっています。
ところが大人しい液体の水になるとき、そのエネルギー(潜熱)を手放さなければならないのです。
水蒸気が手放した潜熱は、そのへんの空気にプレゼントされるので、空気が温められて気温が上がるのです。
車が凍らない理由は、霧が発生するときに気温が上がるからだったのです。
次は世界一強いの放射冷却について!
世界で一番放射冷却が激しい地域や世界記録が面白い!
世界一放射冷却が激しい地域は、アラビア半島南部に位置する「ルブアルハリ砂漠」!
砂漠は昼間暑くて灼熱。夜になると氷点下…。
なんて聞いたことはありますよね?
砂漠は、ほぼ毎日「晴れ」でなので、毎日強い放射冷却現象が起きています。
ルブアルハリ砂漠は
- 夏の夜でも、0℃以下。
- 昼間の気温は55℃に上昇
ということも珍しくありません。
放射冷却で約50℃気温が下がるってことですね。
私は夏のアタカマ砂漠に行ったことがありますが、アタカマは1日の気温差20℃~30℃で、辛くはなかったです。
日本でも盆地なら、放射冷却ですさまじく気温が下がります。
2007年2月5日、長野県菅平で
- 1日の最低気温:-20.3℃
- 1日の最高気温:11.7℃
が観測され、1日の寒暖差が32℃という記録になりました。
アメダスの記録を見ると、
- 1日の最低気温:-18.4℃
- 1日の最高気温:10.7℃
となっています。
この日のアメダスの記録では
- 風がない
- 日射が十分にある
ということがわかるので、32℃の気温差は「放射冷却による気温差」と考えて間違いないでしょう。
北海道の内陸、旭川も1日においても、1年においても寒暖差があるところです。まるで大陸!
さて、ここまで放射冷却について、あれこれ解説してきましたが
もし気象予報士を目指すなら、もうすこし勉強しておかねばなりません!
気象予報士を目指す人へ「放射冷却とは」
「放射冷却」とは、地表面から熱を待機に放射する現象のことです。
熱とは電磁波(赤外線)のこと。
水でできた雲もまた、赤外線を放射しています。
だから雲があると、「地面からの赤外放射+雲からの赤外放射」で地表面の熱が奪われにくいのです。
赤外線の放射の強さは、ステファン・ボルツマンの法則によります。
放射強度I=σ・(Tの4乗)
※σ=ステファン・ボルツマン定数(比例定数)
T=黒体の温度(K)
放射冷却でステキな現象が!
放射冷却は、盆地で霧を発生させることがあり、時に幻想的な風景を見せてくれます。
冬に愛媛県大洲市で観測される「肱川あらし」は
放射冷却によって、大洲盆地に発生した霧が、明け方に肱川の上を通り海へ流れ込む現象です。
まるで巨大な白い竜が、肱川の上を進んでいるようではありませんか?
この肱川あらしが起きる時、地表面では冷たい強風が吹いていて、全然心地よくありません。
でもキレイなんですよね~。
他には、竹田城の雲海。⇩
この美しい雲海も、放射冷却によって生まれているんです。
放射冷却って、なんてステキなんでしょう~
放射冷却のまとめ
地球の表面からに空に向かって熱が逃げて
地面近くが冷えること。
放射冷却が1年中見られますが
起きやすい条件は
- 晴れていること
- 夜であること
- 風が弱いこと
放射冷却で起きることは
- 寒い
- 霧ができる
- 露・霜ができる
その他
- 放射冷却で一番寒くなるのは朝。
- 日の出後でも寒い。
- 放射冷却でも霧が出れば、寒くならない場合がある。
- 日本でも放射冷却で1日の気温差(日較差)が30℃を超えたことがあった。
- 放射冷却は厳しい寒さだけではなく、肱川あらしや雲海など、素晴らしい景色を見せてくれる。
ということをお伝えしました。
気象フェチでなければ「放射冷却」を喜ぶことはないかもしれませんが、今後「放射冷却かな?」と思った朝は、周りをよーく観察してみて下さい。
何か新しい発見があるかも?!
竜巻ってそもそも何?
映画みたいな竜巻って、本当にあるの?
↓ ↓ ↓
雷の原理を超わかりやすく解説しています!
↓ ↓ ↓
雹(ひょう)と霰(あられ)の違いとは?
↓ ↓ ↓