500hPa高層天気図(実況)の見方・読み方と着目ポイント

この記事でわかること
  • 気象予報士試験 実技試験でよく使う500hPa高層天気図(実況)の見方・読み方と、どこに着目したら良いかがわかる。
  • 等高度線は何mごとか。
  • 等温線は何℃ごとか。
  • 風向・風速の見方・読み方。
  • 高度・気温・風向・風速から読み取れることは何か。

最初は一体どこからチェックしたらいいんだよ…パトラッシュ、なんだかとても眠いんだ…という状態だって大丈夫。

毎日見ているうちに、ある日山の頂上に立ったかのように、見える景色が変わります。

では一緒に「500hPa天気図」の見方・読み方をインプットしましょう〜

各要素の読み方

500hPa天気図
記号・略号意味
太実線等高度線:300mごと
実線等高度線:60mごと
破線等温線:寒候期は6℃ごと,暖候期は3℃ごと
H高気圧
L低気圧
W暖気核
C寒気核
矢羽風向・風速
矢羽の隣上の数字:気温
矢羽の隣下の数字:湿数

高度場から読み取れること

500hPa面は対流圏中層で、高度5600m〜5700m付近。

夏季は5800m以上になる場合があり、冬季は5000m以下も見かけます。

また、5400mは北極圏の寒気が南下する際の目安になるので、冬季は要注目です。

一方、 等高度線 5880m 以上の高度場はだいたい亜熱帯高圧帯に対応しています。

亜熱帯高気帯→太平洋高気圧の勢力圏内なので、暑くなりそうですね。

着目点と読み取れること

冬季:等高度線 5400m は、北極圏の寒気団の南下を把握できる。

夏季:等高度線 5880m は、亜熱帯高圧帯に対応しており、一般に夏空が予想できる。

冬季の寒気
夏季の亜熱帯高圧帯

続いて5700m付近。

この辺りは偏西風帯です。

だから5700m付近の等高度線の蛇行、蛇行のスケール、振幅の大きさなどに着目します。

要するにトラフとリッジですね。

偏西風の蛇行スケールが大きい場合、好天にしろ悪天にしろ、偏った天候となります。

着目点と読み取れること

偏西風の蛇行

蛇行のスケールが大きい場合、偏った天気を予想できる。

  • トラフの前方域:一般に天気が悪くなる。
  • リッジの前方域:一般に天気が良くなる。

高度場と風から読み取れること

高度場(等高度線)と風(矢羽)から読み取れるのは、強風軸。

特に難しいことではなくて、等高度線の間隔が狭く、風速が周囲より強くなっているところを探します。

試験に強風軸を解析・記入する問題も出たことがあります。

気温から読み取れること

500hPa天気図(実況)の破線は等温線です。

この等温線の集中帯があれば、この高度場での前線帯ということです。

着目点と読み取れること

前線帯

等温線集中帯は500hPa面の前線に対応している。

下層の前線と位置の違いに注意が必要だが、参考になる。

また、500hPa面に寒気があると、天気予報で言われる「大気の状態が不安定」という状態です。

対流雲が発生したり、冬季なら雪も予想できますね。

例えば、-36℃以下の寒気が入ると、強い寒気が入っていると言えます。

日本海側では、大雪も視野に入れていきます。

着目点と読み取れること

大気の状態が不安定

冬季は-30℃以下、夏季は-9℃以下の寒気が目安となる。

冬季に -36℃以下の寒気が入ると、日本海側では降雪多し。

冬季の寒気の目安

次は暖気。

500hPaでは、発達している台風の中心付近で暖気核がみられます。

台風の暖気核は台風の象徴です。

この暖気が不明瞭になると、台風は温帯低気圧に変わっている可能性大です。

着目点と読み取れること

台風→温帯低気圧

暖気核が明瞭:温帯低気圧ではなく台風。

暖気核が不明瞭:台風から温帯低気圧に変わっている可能性大。

台風:低気圧の中心と一致する暖気核

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