500hPa高度・渦度解析図/予想図の見方・読み方と着目ポイント

この記事でわかること
  • 気象予報士試験 実技試験でほぼ必ず使う500hPa高度・渦度解析図と予想図の見方・読み方と、どこに着目したら良いのか。
  • 等高度線は何mごとか。
  • 高度から何がわかるか。
  • 等渦度線の基準。
  • 渦度から何がわかるか。
  • 高度と渦度の組み合わせで何がわかるか。

そもそも日本はどこですか…青いお空が好きなのに、こんな白黒天気図を見て何になるっていうんだい?…と逃げ出したくなってても大丈夫。

毎日見ているうちに、ある日山の頂上に立ったかのように、見える景色が変わります。

では一緒に「500hPa高度・渦度解析図/予想図」の見方・読み方をインプットしましょう〜

500hPa高度・渦度解析図と予想図の違い

500hPa高度・渦度解析図と予想図の違いは、「何時間予想図なのか」ということのみです。

「T=00」は 解析図 。
0時間後の天気図だから解析図。

「T=12」や「T=24」は 予想図。
12時間後や24時間後だから予想図。

各要素の読み方

500hPa高度・渦度解析図/予想図
記号・略号意味
太実線等高度線:300mごと
基準は5700m
実線等高度線:60mごと
等高度線上の数字120mごとに記入
縦細網掛け領域正の渦度域
縦細網掛け領域を囲む実線渦度0
白抜き領域負の渦度域
破線渦度40×10-6/sごと
+数字正渦度極大値
ー数字負渦度極大値
H高気圧
L低気圧

高度場から読み取れること

500hPa面の高度場から読み取れることで、ぱっと思いつくのは、トラフ&リッジですよね。

基準となる5700m線に注目すると良いと思います。

トラフとリッジは曲率が最大になる部分を結びます。

他に等高度線の大きな蛇行や閉じた等高度線から、切離低気圧を見つけることもできますよね。

この天気図に等温線はありませんが、冬季には寒気の南下も見ることができます。(500hPa気温, 700hPa湿数の天気図で確認しますが)

寒気の南下の目安になる高度線は、5400mくらいでしょうか。

また夏季は、亜熱帯高気圧の存在を5880m線から読み取ることもできます。

このように等高度線から、ある程度季節を読むこともできますが、試験では日付ありの天気図しか出ませんので、覚えなくても大丈夫です。

着目点と読み取れること
  • 等高度線の蛇行からトラフ・リッジを見つける。
    地上の擾乱との位置関係から、今後発達するかどうかなどを考える。
  • 切離低気圧
    閉じた等高度線があれば、500hPa気温, 700hPa湿数天気図で寒気核も確認すると良い。
  • 等高度線5400m
    【冬季】寒気の南下から降雪を予想する目安。
  • 等高度線5880m
    【夏季】日本上空が5880m以上の高度場なら、亜熱帯高気圧に覆われた夏空と考えられる。

渦度から読み取れること

天気図上に示される渦度の数値は全て符号付きの数字のみで、「●●x 10-6/s」が省略されています。

正の渦度域(縦縞領域)は、そこに低気圧性の流れがあることを示し、負の渦度域(白抜き領域)ではその逆を示します。

正の渦度域は上昇流との対応もあるので、比較的天気は悪いと考えて次の情報を探します。

高度場のトラフと同じように、正の渦度極大域と地上の擾乱(温帯低気圧)の位置関係も、擾乱の発達に大きく関わるので注目しましょう。

また高緯度側に正の渦度域、低緯度側に負の渦度域が存在する場合は、その境目(渦度0のところ)は周囲より風速が強くなっていると考えられ、強風軸(ジェット気流)を見つける際の目安になります。

ただし、北半球で渦度0が強風軸であると考えていいのは、「高緯度側に正の渦度、低緯度側に負の渦度」がある領域です。

補足ですが、閉塞前線がある場合、渦度0の強風軸と閉塞点は一致すると考えられるので、閉塞点の解析に役立ちます。(▶️前線記入問題攻略ノート

ちなみに、発達中の温帯低気圧の軸と結びついた正の渦度極大値は、+3桁くらいをよく見かけます。
上の天気図でも +265 ですね。

これが台風になると+1500 など4桁になるのも珍しくないので、ぜひチェックして高層天気図を楽しみましょう。(覚えなくても大丈夫です。)

着目点と読み取れること
  • 正の渦度の位置→おおよその悪天候域を把握。
  • 地上の擾乱との位置関係→低気圧の発達段階を把握。
  • 渦度0→強風軸(ジェット気流)の位置を把握。
  • 渦度0→閉塞点の位置を解析。

その他の天気図についてはこちら!