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台風の目は、飛行機から撮影された写真や、気象衛星画像で見ると
凹んでいて雲が見えません。
台風の目では、下降気流があるって聞いたのだけど、本当でしょうか?
下降気流ってことは、高気圧なの?
雲がなくて、晴れてて、風も吹かないって本当???
ここでは「台風の目」への疑問について、徹底的に答えていきます!
台風の目で下降気流があるって本当?
答えは、「そうだけど、そうでもない。」
台風の目では
下降気流があるけど、上昇気流もある。
比べると下降気流の方が多め。
実際に、優秀で有名な京大とか名古屋大学などの研究者が観測した結果
台風の目では、下降気流も上昇気流も観測されました。
スーパーコンピューターの「京」が計算した台風モデルでも
台風の目では
- ゆるい下降気流が多め
- ゆるい上昇気流もある
という結果になったのです。
でもね!
- 上昇気流=低気圧
- 下降気流=高気圧※ザックリ説明しています。
と、なっているはずでしょ?
ということは
台風の目は下降気流が多めなんだから高気圧になっているの???
台風の目は高気圧になってるから下降気流が多めなの?
台風の目は
- 下降気流が多め。
- 航空写真や衛星画像で雲がないように見える。
高気圧になってるんじゃない?と思いますが
答えは
完全に低気圧!
台風全体で見ても、台風の目は一番気圧が低いんです!
ではなぜ「一番気圧が低い部分」なのに
- 積乱雲が発達せず
- 下降気流が多め
になるのでしょうか?
台風の目で下降気流が多めになる理由
台風の目で「かなりの低気圧」なのに下降気流が多めになる理由は
遠心力で、上昇気流が
台風の目に入れないから〜
台風の目では、遠心力で上昇気流が入れないので、下降気流が多めになるって言われても…!(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
と、余計混乱した方に、さらに詳しく解説します!
台風の目のでき方・原理
台風の目より外側では、激しく
- 上昇気流
- 下降気流
の、どちらも繰り返しながら、台風の中心(台風の目)に集まります。
このとき、反時計回りに回りながら吹き込む空気には「遠心力」が働きます。
「台風の目へ吹き込む力」と「遠心力」は
台風の目の壁雲の中で、バランスをとっているのです。↓
台風の目の壁のところまできた空気は
遠心力のせいで、それ以上中心に近づくことができず
反時計回りに回りながら上方向に向かいます。
このとき、台風の目では
鳴門の渦のように空気が少なくなります。
水でも空気でも、少なくなったところには、近くから補充されるものですよね。
台風の目の場合、周りの空気は遠心力のために近寄れませんからどこから補充するかっていうと、台風の目の上から。
イメージ図↑ 怖い〜!
だから…
台風の目で下降気流が起きる原理は
少なくなった空気を補充するために
空気が降りてくるから!
ちなみに、上に登れるだけ登った空気は
台風の上で中心から外側に向かって、一気に吹き出すのです。
しかも高気圧と同じ時計回りに吹き出すのです〜
面白いですね〜
とはいえ、やっぱり台風の目は低気圧の中心だし
観測の結果、上空2000mくらいまで雲ができやすい「不安定な空気」なので
上昇気流も生まれるのです。
そんなわけで、台風の目では
下降気流が多めだけど、上昇気流も存在するってこと。
で…結局
台風の目は
雲がなくて、青空が見えるような晴れた空なのか?
台風の目は下降気流で「雲がなく快晴」?
宇宙から見た台風の写真や
気象衛星画像で見る代表的な台風は、「台風の目」があって
「台風の目」は雲が見えないこと多いですよね!
だから、「台風の目」が自分の真上を通過したら
「雲がなくて、青空が広がってるんじゃないか?」と思う人、多いです。
でも実際には・・・
台風の目では「快晴」になることより
曇りや小雨が多い!
多くの場合、台風の目では、「晴れ」より
- 曇り
- 小雨
などの天気が多いのです。
実際に2017年に、研究者が飛行機で台風の中心の観測に行った時も
台風の目には雲のないところは少しだけで
ほとんどは低い雲に覆われていました。
観測結果でも
台風の目の中、地面の近く(地面から上空2000mくらいまで)は不安定な空気だったこともわかりました。
「不安定な空気」ってことは、上下で場所を入れ替わりたい空気なので
雲ができやすい空気ってことです。
↓不安定な空気モデル
また、ある研究者は
石垣島で台風の目の観測をした際に
「晴れではなく、霧」
だったと…。※霧の原因は、石垣島が海に囲まれた島だからとのことです。
では、台風の目では、風はどうだったのか?
風がない? それとも・・・
台風の目では風が吹かない?それとも風が強い?
台風の目では風が吹かないとか
いやいや風が強いとか、本当のところはどっちなんでしょう?
自分で体験するのは、結構難しいので(台風が直撃してくれないと経験できない!)
データからお話しします。
観測者の感覚じゃなくて、数字で風の強さを知るために、随分前のデータですが
- 1934年9月21日室戸岬付近に上陸した室戸台風
- 1959年9月26日に潮岬に上陸した伊勢湾台風
の風データを見てみましょう!
上の図によると、台風の目のど真ん中は、風速が10m/sないんです。
かといって、風速0m/sじゃない。
風速5m/s〜10m/sくらい。
風速5m/sがどのくらいの強さかというと、ドローンを飛ばせないくらいの風!
この動画が風速5m/sをわかりやすく紹介しています。
風速5m/s〜10m/sを言葉で説明すると
- 砂ぼこりが立ち始める。
- 池や湖に小波が立つ。
- 木の葉が揺れて音が聞こえる。
- 旗が軽くはためく。
- 屋外にある軽いものは飛ばされる。
みたいな風です。
風は吹いてるけど、災害が起きるような風ではなくて
天気予報でも「風が強い」とは言われないレベルの風の強さです。
でも「そよ風〜洗濯物をピンチで留めないと不安」くらいの風で
「静寂(せいじゃく)」ではなく、目視でも風があるのがわかる状態です。
なんだか今までのイメージとは違う「台風の目」が見えてきましたね!
そんな台風の目、どれくらいの大きさがあると思いますか?
台風の目の大きさ
台風の目の大きさって、どこからどこまでが台風の目かっていうのもありますが
台風によっても全然大きさは違うわけです。
例えば、先ほども見ていただいた図↓
↑上のグラフを見ると
歴史に残る大きな台風では、「台風の目は50km〜100km」くらい!
ちなみに、2017年の台風21号(中心気圧915hPaまで下がった)の場合
台風の目の直径は約90kmでした。
90kmは、割と大きい方です。
っていうか、めっちゃデカイ!
90kmってこのくらい!↓
だから多くの方が「台風の目」を体験できたはず。
でも実際は、曇りや雨が降ってて、風も吹いているので、気づきにくいんですよね…。
さいごに
台風の目では、下降気流なのか、上昇気流なのか?
答えは、どちらもあるけど、「下降気流が多め」でした。
なぜ低気圧の中心である台風の目で、下降気流が生まれるのか
答えは「鳴門の渦潮」と同じ現象で、「遠心力によるもの」でした。
他にも、台風の目ではどんな天気なのかということをお伝えしました。
子供の頃は、台風の目って晴れるんだと思ってたので、真実を知ってしまって若干残念。
それにしても台風の目、本当に興味深いですね!←完全にオタク。
台風についての素朴な疑問には、こちらの記事でお伝えしています。
↓ ↓ ↓
中心気圧○ヘクトパスカルって、なんの目安にしたら良いのか
台風の東側とか右側で、風や雨の被害が出やすい理由
台風のたまごって、どうやって生まれてるの?
などに、全力でお答えしています!