第65回気象予報士試験実技試験解説

学科専門~過去問私的解説&考察~第65回気象予報士試験・問4

4:数値予報における品質管理と客観解析

気象庁が行っている数値予報における品質管理と客観解析について述べた次の文(a)〜(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。

(a) 観測データは、数値予報モデルの予測値から得られる第一推定値と比較され、その差が定められた基準を満たさない場合は、客観解析には用いられない。

(b)解析と予測を繰り返す解析予報サイクルにより、海上など観測データが少ない領域でも解析精度の向上が期待できる。

(c)全球解析では、第一推定値の誤差の設定において、気候学的な誤差に加えて、全球アンサンプル予報から見積もられる日々変動する大気の状態に応じた誤差が用いられている。

(d) メソ解析では、水蒸気や雲・降水に関連する観測データとして、アメダス湿度計データ、解析雨量、レーダー反射強度など、全球解析では利用されていない観測データが同化されている。

① (a)正,(b)正,(c)正,(d)正

はれの
はれの

数値予報における品質管理と客観解析についての問題です。

(a)品質管理

問題文にあるプロセスは、一般的に「品質管理」と呼ばれます。

数値予報の初期値を作る客観解析(データ同化)において、異常なデータが混入すると予測精度がガタ落ちしてしまうため、厳しい選別が行われます。

観測データは、数値予報モデルの予測値から得られる第一推定値と比較され、その差が定められた基準を満たさない場合は、「計器の故障」や「局所的なノイズ」とみなされ、解析データからはじかれます。

よって(a)の「観測データは、数値予報モデルの予測値から得られる第一推定値と比較され、その差が定められた基準を満たさない場合は、客観解析には用いられない。」は正しい!

(b)解析予報サイクル

解析予報サイクルを回すことで、観測データが乏しい海上などの領域でも、精度の高い解析値を得ることが可能になります。

よって(b)の「解析と予測を繰り返す解析予報サイクルにより、海上など観測データが少ない領域でも解析精度の向上が期待できる。」は正しい!

参考資料:第1章:基礎編「データ同化」 – 気象庁

(c)全球解析

現在の気象庁をはじめとする主要な気象機関の全球解析では、固定的な「気候学的な誤差」だけでなく、「全球アンサンブル予報」から算出される日々の大気状態に応じた誤差(流れ依存の誤差)を組み合わせて使用しています。

この仕組みにより、例えば「台風の周辺で予報の不確実性が高まっている」といった、その時々の気象状況を背景誤差の設定にリアルタイムで反映させることが可能になっています。

具体的には、4次元変分法(4D-Var)などの枠組みの中に、アンサンブル予報の広がり(共分散)をブレンドするハイブリッドデータ同化という手法が主流です。

全球解析や局地
解析では、変分法で用いる背景誤差について、気候学的に事前に見積った値に加え
て図に示すようにアンサンブル予報から見積もられる予報摂動(ばらつき)を利用する
ことで、実際の大気の状態に応じた誤差情報も考慮する手法(ハイブリッド同化)を用
いている(数値予報開発センター 2021; 数値予報開発センター 2022)。

引用元:第1章:基礎編「データ同化」 – 気象庁 (PDF)

よって(c)の「全球解析では、第一推定値の誤差の設定において、気候学的な誤差に加えて、全球アンサンプル予報から見積もられる日々変動する大気の状態に応じた誤差が用いられている。」は正しい!

(d)メソ解析

メソ解析は、集中豪雨や竜巻などの局地的な現象を予測するため、全球解析よりも「水」に関連する高密度な観測データを積極的に取り込んでいます。

メソ解析で利用している観測データの分布図をスライドに示す。全球速報解析よりも
観測データの待ち受け時間は短く設定されており、利用できる観測データは限られる。
前述した通り、メソスケール現象は降水現象と関係するため、雲・降水に関する観測
データを多く利用する必要がある。このことから、メソ解析ではアメダス湿度計データ、
解析雨量、レーダー反射強度やマイクロ波推定降水量など、全球解析では利用されて
いない観測データが同化されている。

引用元:数値予報解説資料集 第1章:基礎編「メソ解析」

よって(d) の「メソ解析では、水蒸気や雲・降水に関連する観測データとして、アメダス湿度計データ、解析雨量、レーダー反射強度など、全球解析では利用されていない観測データが同化されている。」は正しい!

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