学科一般~過去問私的解説&考察~第66回気象予報士試験・問5

問5:地球全体のエネルギー収支

地球全体について年平均した地表面におけるエネルギー収支について述べた次の文(a)~(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。

(a) 地表面で吸収される太陽放射エネルギーは、大気上端に入射する太陽放射エネルギーの約50%にあたる。

(b) 地表付近の大気の温度は、地表面が受ける太陽放射エネルギーと、地表面が射出する長波放射エネルギーとの釣り合いでほぼ決まっている。

(c) 地表面から大気に輸送される顕熱と潜熱を比較すると、潜熱の方が顕熱よりも大きい。

(d) 地表面が吸収する下向き長波放射エネルギーと地表面が射出する上向き長波放射エネルギーを比較すると、下向き長波放射エネルギーの方が上向き長波放射エネルギーよりも大きい。

(a)(b)(c)(d)
①正正正正
②正誤正誤
③正誤誤誤
④誤正正誤
⑤誤誤誤正

② (a) 正,(b) 誤,(c) 正,(d) 誤

(a) 地表面で吸収される太陽放射エネルギーについて

問題文

(a) 地表面で吸収される太陽放射エネルギーは、大気上端に入射する太陽放射エネルギーの約 50% にあたる。

(a)は正文です。
問題文の通り、大気上端に入射する太陽放射(100%)のうち、約50%(約47〜50%)が地表面に吸収されます。

残りの50%の内訳は、約30%が雲や地表面によって宇宙へ反射され(アルベド)、約20%が大気や雲に直接吸収されます。

(b) 地表面付近の気温の決定要因について

問題文

(b) 地表面付近の大気の温度は、地表面が受ける太陽放射エネルギーと、地表面が射出する長波放射エネルギーとの釣り合いでほぼ決まっている。

(b)は誤文です。
地表面付近の温度は、放射の釣り合いだけでなく、顕熱や潜熱(水の蒸発など)による熱輸送も合わさって決まっています。

もし地球に「放射(太陽放射と長波放射)」しか存在しない(大気はあるが、放射「しか」しない場合)と仮定すると、温室効果が効きすぎて地表面の温度はもっと高温(60℃以上)になってしまいます。

実際には、顕熱や潜熱による大気への熱輸送(対流)が地表面を冷やす役割を果たしているため、現在の平均気温(約15℃)に保たれています。

(c) 顕熱と潜熱の大きさの比較について

問題文

(c) 地表面から大気に輸送される顕熱と潜熱を比較すると、潜熱の方が顕熱よりも大きい。

(c)は正文です。
地球全体で年平均すると、地表面から大気へ運ばれる熱量は潜熱の方が顕熱よりも圧倒的に大きいです。

地球の表面の約7割は海であり、常に大量の水が蒸発しています。

蒸発するときに熱を奪い、上空で雲になるときに熱を放出する「潜熱」のエネルギーは、空気が直接温められて上昇する「顕熱」の約4倍に達します。

(d) 上向き・下向き長波放射の大きさの比較について

問題文

(d) 地表面が吸収する下向き長波放射エネルギーと地表面が射出する上向き長波放射エネルギーを比較すると、下向き長波放射エネルギーの方が上向き長波放射エネルギーよりも大きい。

(d)は誤文です。
地表面が射出する「上向き長波放射」の方が、大気から受ける「下向き長波放射」よりも大きくなります。

地表面は太陽からエネルギーを得て温まっているため、自ら出す熱(上向き)の方が、大気から戻ってくる熱(下向き)よりも常に多くなります。

もし下向きの方が大きければ、地表面は冷えることができずに無限に温度が上がってしまいます。

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