500hPa気温, 700hPa湿数予想図の見方・読み方と着目ポイント

この記事でわかること
  • 気象予報士試験 実技試験でほぼ必ず使う500hPa気温, 700hPa湿数予想図の見方・読み方と、どこに着目したら良いのか。
  • 500hPa等温線は何mごとか。
  • 700hPa湿数の等値線は何℃ごとか
  • 500hPaの気温から何がわかるか。
  • 700hPaの湿数から何がわかるか。
  • 500hPaの気温と700hPaの湿数の組み合わせから何がわかるか。

そもそも日本はどこですか…青いお空が好きなのに、こんな白黒天気図を見て何になるっていうんだい?…と逃げ出したくなってても大丈夫。

毎日見ているうちに、ある日山の頂上に立ったかのように、見える景色が変わります。

では一緒に「500hPa気温, 700hPa湿数予想図」の見方・読み方をインプットしましょう〜

各要素の読み方

500hPa高度・渦度解析図/予想図
記号・略号意味
太実線等温線:3℃ごと
等温線上の数字6℃ごとに記入
縦細網掛け領域湿域(湿数3℃未満)
縦細網掛け領域を囲む破線湿数3℃の等値線
細実線湿数6℃ごと
縦横破線網掛け域高標高領域・3000m以上
縦破線網掛け域高標高領域・1500m以上
C寒気の中心
W暖気の中心

500hPa温度場から読み取れること

500hPa面の温度場からまず読み取れるのは、寒気移流です。

500hPa面(対流圏中層)に寒気移流があるということは、大気の成層が不安定かも?と考えられますよね。

対流雲が発生する?

強い降水があるかも?など予想でき、対流の強さを考察する上でも、非常に参考になります。

例えば…寒気の目安となるのは、夏季は ー 6 ℃ 〜 ー 9 ℃ 、冬季は ー 30 ℃ 〜 ー 36 ℃。

真冬にー 42 ℃の寒気が南下してきたときなど、「冬将軍だなぁ」と大注目です。(日本海側に住んでいるので悠長にしていられませんが。)

また、500hPa高度・渦度解析図(または予想図)で等圧線が閉じたところに、この天気図で寒気の核があれば、寒冷渦を確認できるし
台風の暖気核のチェックにも使えます。

もう一つ…等温線の集中帯は、850hPa面同様、この高度(500hPa面)での前線帯に対応すると考えます。

500hPa面での前線帯は、強風軸に対応することが多いので、500hPa高度・渦度解析図(予想図)の高度場と合わせて着目すると良いと思います。

さらに700hPa面の湿域との対応が見られれば、降水の予想も考えていきます。

着目点と読み取れること
  • 寒気移流→大気の成層状態の安定度を読み取る。
  • 夏季の寒気の目安: ー 6 ℃ 〜 ー 9 ℃
  • 冬季の寒気の目安: ー 30 ℃ 〜 ー 36 ℃
  • 寒冷渦→寒気核
  • 台風→暖気核
  • 等温線の集中帯▶️強風軸との対応

湿数から読み取れること

湿数なのでね、基本的に湿潤域と乾燥域に着目します。

とりあえず湿数3℃未満の湿潤域に注目するのですが、湿数が大きな乾燥域もチェック。

湿潤域と合わせて850hPa気温・風,700hPa鉛直流解析図(予想図)で上昇流域の位置も確認すると、前線解析にも役立ちます。

特に寒冷前線付近で等値線の集中帯が見られます。

注意したいのが、700hPa面の「湿潤域=雲がある(または雨が降る)」ではないこと。

700hPa面は、地表からおよそ3000m。

だから高度3000m未満の雲と700hPa面の湿数との対応は、イマイチなのです。

雲や降水域を把握するときは、衛星画像や気象レーダーの情報も忘れずに確認しましょう。

また、発達中の温帯低気圧があった場合、通常は500hPa高度・渦度解析図(予想図)のトラフの進行方向前面に広範囲にわたって湿潤域が広がり、進行方向後面は乾燥域が見られます。

このとき、乾燥域が温帯低気圧中心の南側〜南東に食い込んでいれば、その低気圧は閉塞過程にあり、発達の最盛期は終わろうとしていると読み取れます。
つまり、温帯低気圧の盛衰の予想をする際に、参考になるということです。

ちなみに湿数18℃以上の乾燥域は、「下降流があるかも?」と想像できます。

着目点と読み取れること
  • 湿潤域の位置
    500hPa面のトラフとの位置関係など
  • 乾燥域の位置と数値の大きさ
    前線位置、擾乱の盛衰、下降流の存在
  • 「湿潤域=降水域」ではないことに注意

【まとめ】500hPaの気温と700hPaの湿数の組み合わせから読み取れること

この500hPa気温, 700hPa湿数予想図から読み取れることは…

  • トラフに対応する寒気と前線帯の動き
  • 大気の成層の安定度
  • 擾乱の発達段階
  • その高度での前線の位置

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