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傾圧不安定波

傾圧不安定波とは、南北の温度差(水平温度傾度)が大きい場所において、その温度差を解消しようとして発生する大気の波のことです。

この波が発達することで、北側の冷たい空気と南側の暖かい空気が入れ替わり、位置エネルギーが運動エネルギーに変換されます。これが地上では「温帯低気圧」として発達します。

なぜ「不安定」なのか?(メカニズム)

大気が「傾圧(けいあつ)」であるとは、等圧線と等温線が交差している状態を指します。この状態を分かりやすく図解のイメージで説明すると以下のようになります。

成長のステップ

  1. 南北の温度差: 日本付近(中緯度)では、北に寒気、南に暖気があり、上空では強い西風(ジェット気流)が吹いています。
  2. 擾乱(じょうらん)の発生: 何らかのきっかけで、この西風の流れに「蛇行」が生じます。
  3. エネルギーの変換: 蛇行によって、冷たい空気が南下(降下)し、暖かい空気が北上(上昇)します。
    • 重いものが下がり、軽いものが上がるため、大気全体の「有効位エネルギー」が減少します。
  4. 低気圧の発達: 減少したエネルギーが風の強さ(運動エネルギー)に変わり、渦が強まって低気圧が急速に発達します。

構造上の大きな特徴:軸の傾き

試験や学習において最も重要なポイントは、「高度による気圧の谷の軸の傾き」です。

  • 西への傾き: 傾圧不安定波が発達するためには、上空の気圧の谷が、地上の低気圧の中心よりも西側に位置(西に傾斜)している必要があります。
  • この傾きがあることで、上空の暖気内流と寒気内流が効率よく入れ替わり、低気圧がさらに発達します。

ポイント

項目内容
発生場所中緯度の偏西風帯(南北の温度差が大きい場所)
エネルギー源南北の温度差による「有効位エネルギー」
結果温帯低気圧の発達、熱の輸送(南北の温度差の解消)
必須条件気圧の谷の軸が上空に向かって西に傾いていること

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